”ストライク” と ”ボール” の見極めは、投手と打者の駆け引きを伺わせる野球の醍醐味の一つ。
でも、黒子に徹して冷静にジャッジを積み重ねる球審にとっても、とても重要でエキサイティングな仕事なんです。
先日(2022年4月)のNPBでは、”ボール” の判定に不服を示した投手に対して、球審がマウンドに詰め寄るという事例があり、その試合の試合結果よりも大きく取り上げられました。
若くして実力もあり、結果も出し、人気上々の投手を擁護する声が多い気がする。
お互いに悪い点があるのだから、各々で反省してもらってくれたらよいと思います。
球審の悪い点
あの行為は「球審による遅延行為」に他ならない。
160km/hを越える投球をジャッジしていく作業は、精神的にも体力的にも大きな負担になるだろうし、その集中力と興奮度は計り知れない。
そんな中で見えてしまった投手の不服そうな仕草に「カチン!」「はぁ~?」「ぬ~やが」と感じてしまったとしても、分からなくもない話だと思います。
でも、マウンドに歩み寄ることは不要なことだし、結局何もしないで帰ってきたことで、「無駄な時間を要した」ことになると思います。
私がこんな行為をしたならば、周りの先輩たちから「お前のために用意された時間は無い」とお叱りを受けることでしょう。
私みたいなアマチュア審判員がプロ審判員にコメントするのも如何かと思いますが…
審判員は、競技場における唯一の代表者であって、強い忍耐と、よりよい判断とを必要とするようなつらい立場におかれることがしばしば起こるが、悪い事態に対処するにあたっては、感情を棄てて自制することが、一番大切なことである。
公認野球規則 審判員に対する一般指示 一部抜粋
感情が高ぶるシーンだからこそ、冷静に…適切に…
そんな立ち振る舞いに、私たちアマチュア審判員は、プロ審判員に対して、その ”凄さ” と ”憧れ” を感じているような気がします。
投手の悪い点
「それ入ってるよね?」とか…「さっきは”ストライク”だったじゃん?」とか…気持ちは分からなくもないですよ。
でもね、審判のジャッジを否定しちゃいかんのですよ。
競技中のプレーヤーの禁止事項として…
どんな方法であろうとも、対手チームのプレーヤー、審判員または観衆に対して、悪口をいったりまたは暴言を吐くこと。
公認野球規則 6.04(a)(2)
審判員の資格・権限・裁定には…
審判員は、プレーヤー、コーチ、監督または控えのプレーヤーが裁定に異議を唱えたり、スポーツマンらしくない言動をとった場合には、その出場資格を奪って、試合から除く権限を持つ。
公認野球規則 8.01(d)
打球がフェアかファールか、投球がストライクかボールか、あるいは走者がアウトかセーフかという裁定に限らず、審判員の判断に基づく裁定は最終のものであるから、プレーヤー、監督、コーチ、または控えのプレーヤーが、その裁定に対して、異議を唱えることは許されない。
公認野球規則 8.02(a)
プロ野球選手として「実績を残す」だけでなく「人格者」としての立ち振る舞いをお願いしたい。
「まだ若いから…」とか関係ない。公認野球規則が求める「プレーヤーの姿」がソレなんだから…。そして「プロ野球選手」なのだから…。
多くの「野球小僧」が憧れをもって彼の一挙手一投足に注視していることを忘れないで欲しい。